人気ブログランキング | 話題のタグを見る

第21期高野山真言宗 神奈川青年教師会  


by 18ksk

久々に、牡鹿半島へ。

6月に支援活動へ向かってから、被災地へは向かってはおりませんでした。

気持ちはあっても、時間がそれを許しません。
7月、8月はそれぞれの寺院でお盆供養があり、それが一段落するとすぐにお彼岸がやって参ります。
やっと時間がとれたと思った時には、時が経ってしまっていました。

今回の目的は6月~10月の間に、どれだけ被災地が変わり、何が今求められているのか、どうなっているのかをこの目で見てくる事が目的です。

百聞は一見に如かず、とはよく言ったもの。
実際に見て見なければ、どのような状況なのか分かりません。

様々な地へ向かいたい・・・・けれどもそれすら時間が許しません。
私達は宮城県牡鹿半島の大原という地域を目指す事に致しました。

久々に、牡鹿半島へ。_c0221206_9424186.jpg


大原の公民館前の一枚。
大原という地区は、以前来たことがあるのですが、その時は震災後3ヵ月が過ぎてもまだ手つかずの状態でしたが、今や津波の被害に遭った家々は片付けられ、沿岸部にはこの公民館と神社、幾つかの家しか見当たりません。

この地域に来た理由は「ヒューマンシールド神戸」というNGO団体が地域の方々と密着して支援を行っており、このNGO団体は新潟の震災や、神戸の震災の時も、共に活動をさせて頂いたりしている団体でもあるのです。

牡鹿半島、大原という地域は、漁業の町だそうで、海の向こうにも弁才天で有名な金華山があり、自然豊かな美しい土地です。

震災後一ヶ月、大原の住民の方々は、自分の家の修繕よりも、修繕を優先したものがありました。
それは、なんと神社です。
久々に、牡鹿半島へ。_c0221206_9513632.jpg


久々に、牡鹿半島へ。_c0221206_952567.jpg


ヒューマンシールド神戸の皆さんが、初めてこの地を訪れた時、震災後一ヶ月何をしていたと尋ねると、
地域の皆さんは「神社を直していた」と答えたそうです。

さらにお話を伺うと、
「神様がいないと漁は出来ない。漁は神頼みなんだ、それが解らなければ、この地域の人達とは付き合えないよ」
とおっしゃったと。その想いに寄り添う為に、ヒューマンシールド神戸さんは現地に居続け、支援を続けています。
僕達が訪れた時、地域の方々は崩れた長い長い階段を修繕し、神社の社の傾きを直す段階に入っていました。(階段の綺麗な修繕跡がみえますでしょうか?地域の方々の努力と熱意の賜物です!)

久々に、牡鹿半島へ。_c0221206_9593233.jpg


所で、曳き屋さんというのを御存知ですか?
木造の家の傾きを修繕したり、解体せずに位置をずらしたり・・・・家のバランスを見ながら、修繕する。
そんなカッコいい仕事があるのです。
物凄く繊細な作業で、床下の柱から、天井、梁や様々なバランスを見ながら少しずつ修繕していきます。
新潟の震災で傾いたお寺を直した実績があり、私達もそれを目の当たりにして驚いたことが有ります。
壊すしかないと思われたお寺が、元のように、そして補強もされて修繕されていたのですから。

久々に、牡鹿半島へ。_c0221206_1054465.jpg


この神社の修繕の為に、実は道路を一本、山の裏手に作ったそうです。
結構な高台ですし、木々も多い。それを切り開いて、トラックが通れる道を作り、やっとこの修繕まで辿りついたのです。
地元の方々の熱意、努力、そしてNGOさんの底力に鳥肌が立つ想い。


復興、復興、と言いますが、衣食住が確保されたら復興かというとそれは違います。それは応急処置であって、復興ではないと思うのです。 様々な地域の文化、精神性の拠り所の回復、祭りなどの行事を立て直す事は非常に重要な復興への要素だと思うのです。
その土地に住む、ということが如何なることか。それをこの神社に携わる方々が教えて下さっているような気が致します。

~つづく~
by 18ksk | 2011-11-14 10:11 | 被災地支援活動